JDreamの部屋文献情報の活用方法

業界内におけるSDGsへの取り組みを研究開発の側面から探る

掲載日:2022年3月8日

最近さまざまな場所で耳にする機会が増えた「SDGs;Sustainable Development Goals」。国や地方自治体はもちろん、企業の取り組みに年々注目度が高まっています。

ここでは研究開発の側面から、企業がどのような手法でSDGsに取り組んでいるのか、食品業界を例にJDreamⅢを使って調べてみます。

Step 1 SDGsの同義語を準備して文献検索を行う

調査の目的に合うキーワード・文字列、対象ファイルを精査し、検索します。
SDGsと同じ意味を持つ日本語表現や、略語ではない英語表現も併用しました。
食品業界への限定は、食品および食品工業に対応する分類コード「FJ」ではじまるものを検索する式と「食品」という語を併用しています。

今回は以下の内容で検索を行いました。

使用した検索条件
検索対象ファイル JSTPlus
検索式 (SDGs/ALE or 持続可能な開発/AL or 持続可能な発展/AL or サステイナブルデベロップメント/AL or "Sustainable Development Goals"/ALE) AND (FJ?/CC or 食品/AL)

TIPS

JDreamⅢでは、論文が述べている内容を示す技術用語をシソーラス用語欄に収録しています。 シソーラス用語は階層構造になっており、「食品」を検索するだけで、 その下位語である「惣菜」について書かれた文献も見つけることができます。

Step 2 どのような観点から研究されているか、全容を把握する

検索結果について、「グラフ化」機能を使って全体の傾向を把握します。

まず、どのような観点から研究されているかを確認するため、JST分類の円グラフを見てみます。(グラフ作成時に、結果に多く含まれる「環境工学一般(SA01)」と「食品一般(FJ01)」は除外しています)

JST分類

食品工業だけでなく、農業・作物栽培・廃棄物処理など、さまざまな技術に関わる文献が存在しています。
農業から物流を経て加工され、消費者の食卓に上がり処理されていくまで、それぞれの過程でSDGsへの取り組みが始まっていることが文献の分析からわかりました。

次に、どのような資料に掲載されている文献が多いか、頻度分析機能で確認しました。
食品全般に関わるSDGsへの取り組みは、食品系の資料よりも環境系の資料に多く掲載されています。

頻度分析結果一覧

Step 3 食品加工に焦点を絞る 

もう少し具体的な取り組みを見つけるために、食品加工に絞って文献数を詳しく見ていきます。

使用した検索条件
検索対象ファイル JSTPlus
検索式 (SDGs/ALE or 持続可能な開発/AL or 持続可能な発展/AL or サステイナブルデベロップメント/AL or "Sustainable Development Goals"/ALE) AND (FJ03?/CC or 食品加工/AL)
機関ID

機関IDでグラフ化してみたところ、食品メーカではなく建設関連の企業がトップに来ていました。
分析対象件数が少ないため順位に大きな意味はありませんが、着眼点のひとつとして参考にしてください。

この建設企業の研究内容は、有機系廃棄物からバイオガスやエネルギーを効率よく発生させるというもので、この土台となるメタン発酵技術により、ビール粕や焼酎粕のリサイクルやサツマイモ発電などの取り組みが行なわれているようです。
ビールや焼酎の発酵段階でSDGsに貢献されていることが、意外な企業名から判明しました。

続いて、食品そのものでSDGsに貢献しているものを見ていきます。

シソーラス用語(下位語除く)× 準シソーラス用語

準シソーラス用語でグラフ化しました。
検索条件そのものである、「持続可能な開発」や「食品加工」などは除いています。

準シソーラス用語には、論文が述べている主題に関する語のなかでも、比較的新しい概念が並んでいます。
ここではあまり具体的な食品名は登場していませんが、唯一上位に入ったものに「代替肉」があります。

  • 代替肉はグラフ化の際に除外した「持続可能な開発」との組み合わせが多いため、上位に入っています。

「代替肉」は食肉の代替として大豆などの植物性原料を使い、肉の食感に近づけた食品です。
もともとベジタリアンやヴィーガン向けに展開されていましたが、最近は畜産業による温室効果ガス排出や水資源の大量消費を削減する観点からも注目されています。

本記事では、食品業界におけるSDGsに関する取り組みを、機関名や食品名を切り口に見てみました。
投稿先の傾向や意外なプレイヤーなど、文献の検索結果をそのまま出力しただけでは見えてこないものも、頻度分析やグラフ化を行うことで見えてくる場合があります。
ぜひお試しください。

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