JDreamの部屋文献情報の活用方法
産学連携を推進するために、アカデミアの有力者を見つける
掲載日:2021年12月3日
産学連携で有力なアカデミアや人材を調べたいとき、どのように調査をされていますか?
特定の課題に通じた人物を探す際に、専門分野の中でさらにテーマを絞り込むには、どのような方法が考えられますか?
JDreamⅢに収録されている論文の検索結果を、機関単位で分析することでその分野の研究に取組む機関が見えてきます。
また、論文数と著者を掘下げることや頻度分析を使うことで、その分野での有力者や第一人者を発見しやすくなります。
今回は「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」を例に、専門テーマに強いアカデミアの有力者を探す方法をご紹介します。
論文データから研究が活発な機関を調査する
デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が浸透し、さまざまな業種でデジタル技術を活用したビジネス変革が起こっています。化学分野では、データサイエンスを通じて材料開発をおこなう「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」の取り組みが加速し、開発期間の短縮やコストの低減が期待されています。
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は情報科学技術、インフォマティクスを材料開発に応用する開発手法で、材料分野もわかるデータサイエンティストが必要とされています。
今回は、このような限られた人材を見つけ出す方法を、JDreamⅢを使ってご紹介します。
Step 1 同義語を準備して文献検索を行う
調査の目的に合うキーワード・文字列、対象ファイルを精査し、検索します。
できるだけ具体的な情報を漏れなく得るために、「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」と同義の文字列をリストアップします。
今回は以下の内容で検索を行いました。
検索対象ファイル | JSTPlus |
---|---|
検索式 | マテリアルズインフォマティクス or マテリアルズ・インフォマティクス or materials(w)infomatics/ALE or ((材料設計/CT or 材料開発 or 複合材料/CT) and (人工知能 or JE08000Z/cc or 機械学習 or ニューラルネットワーク or 深層学習 or スパースモデリング or ベイズ推定 or ベイズ最適化 or 決定木 or ランダムフォレスト or 圧縮センシング or データ同化 or 逆問題 or 数理モデリング or 最適化問題 or サポートベクターマシーン)) |
Step 2 文献数が多い大学・機関を確認する
情報ボリュームや関係機関を把握するため、検索結果を機関IDで分けて分析しました。
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、さまざまな大学で研究が進められていることがわかります。
Step 3 材料を限定して所属機関を確認する
さらに材料の種類を限定し、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)に取り組んでいる大学・機関を掘り下げていきます。
ここでは例として、プラスチックとポリマーに限定した集合に対してグラフ化し、解析手法を除いた結果を確認してみます。
分析対象の語を取捨選択し、傾向を把握します。
たとえばFRP(繊維強化プラスチック)を対象に研究している大学・機関を見つけたい場合、赤枠内の数字の多い機関が「FRPのMIに詳しい人材」の所属先である可能性が高くなります。
Step 4 材料をキーに、論文数と著者を掘り下げる
「FRPのMIに詳しい人材」をさらに掘り下げるために、条件をFRPで限定しました。
年ごとの論文数を確認するために「発行年」「著者ID」の折れ線グラフを描いてみます。
最近論文が増えてきている著者は、これからの有力者かもしれません。
Step 5 頻度分析で第一著者を掘り下げる
第一著者を対象に分析したい場合は、著者を対象とする場合よりも、ひとりひとりの論文件数が少なくなります。
件数が少ないと、グラフ化機能では傾向が見つけにくなることがあります。
このような場合は、論文数を単純なカウント数の一軸で確認できる「頻度分析」が有効です。
時系列にはできませんが、この方法で第一著者としての論文数が多い研究者を発見しやすくなります。
TIPS 二つの機関を比較分析する
今回のテーマは「アカデミアの有力者を探す」ですが、少し視点を変えて各機関の得意分野の違いをグラフで比較することもできます。
ご参考までに、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)全体を対象とした論文件数が多かった二つの機関を比較分析しました。素材を除くシソーラス用語で分析してみると、それぞれの研究手法・得意分野が見えてきます。
左右に伸びる横棒の長短で差で、項目ごとの得意分野が確認できます。
東京工業大学物質・情報卓越教育院は卓越大学院プログラムとして採択され、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の卓越博士育成に取り組みがあることから、これから人材の宝庫となる可能性が期待されます。
東北大学も、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)に関するセミナーを開催するなど、この分野へ力を入れているようです。
それぞれの機関が得意とする手法を確認しながらキーワードを掘り下げていくことで、材料分野に詳しいデータサイエンティストをピンポイントで見つけられるかもしれません。
まとめ
今回はマテリアルズ・インフォマティクス(MI)に取り組んでいる人材を探す調査手順をご紹介しました。
現在の課題や気になる方面の技術・研究動向把握に、JDreamⅢをぜひご活用ください。
「研究者探索サービス JDream Expert Finder」を利用すると、本ページで取り上げた研究者の調査をより詳細に、簡単操作でご利用いただけます。是非こちらもご活用ください。