JDreamⅢ 日本最大級の科学技術文献情報データベース

導入事例花王株式会社 様

JDreamⅢAPIを社内システムに導入、高度検索との併用で研究活動を効率化

掲載日:2019年7月24日

花王株式会社

研究開発部門 スキンケア研究所
谷島 隆士 様

研究開発部門 研究運営・管理部
大石 裕子 様

研究開発部門 研究運営・管理部
岸本 秀幸 様

情報システム部門 CRM部
森 博章 様

研究開発部門 研究運営・管理部
小松崎 啓行 様

導入効果

  • JDreamⅢAPIを活用し、社内情報と文献情報を自然文で横断検索。研究員の情報収集の効率化に貢献
  • 科学技術全分野の国内外の学術論文、企業技報など、幅広い文献を収録。基礎、応用の領域を超えた情報共有に貢献
  • 付加価値の高い検索機能が研究員が抱える研究課題の解決を支援

キーワード

  • API
  • JSTシソーラス
  • アドバンスドサーチ
  • IPアドレス認証

”自ら変わり、そして変化を先導する企業へ”の実現に向け新しいチャレンジを実践

花王は1887年の創業以来、消費者・顧客の立場にたって、心を込めた「よきモノづくり」を行ない、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献することを使命とする「花王ウェイ」を企業理念に、清潔で美しくすこやかな暮らしに役立つ「化粧品」「スキンケア・ヘアケア」「ヒューマンヘルスケア」「ファブリック&ホームケア」の4事業からなるコンシューマープロダクツ事業と、さまざまな産業界の発展に寄与するケミカル事業をグローバルに展開している。

近年のデジタル化の進行、ニーズの多様化、エシカル志向の広がりなど、社会の変革が加速する中、「花王ウェイ」の基本となる価値観である「正道を歩む」こと、「絶えざる革新」へと原点回帰し、「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」の取り組みを進めている。その原動力となっているのが、研究開発だ。

幅広い分野の学術情報の共有が、新たな知見を生み出す

「全ての技術分野における国内外の学術文献が収録されているので非常に役立っている」と語る谷島さん

変化を先導するための研究開発を進める拠点として「東京研究所」「小田原研究所」「栃木研究所」「和歌山研究所」があり、各研究所では革新的で価値の高い商品を生み出すための研究を日々行っている。花王の研究開発理念は「科学の目で物事の“本質”を追究し、基盤技術研究と製品開発研究とのマトリックス運営により、新たな価値を創造すること」。その実現のためには、各研究分野での情報共有のみではなく、研究領域を超えた「情報共有」こそが必要だという。

研究開発部門スキンケア研究所の谷島さんは「化粧品をはじめ、花王が生み出す付加価値の高い製品は、多様な技術を取り込んだ発明品といえる。基礎科学の新たな知見が、新しい生活文化を生み出す製品づくりに生かされることも少なくない。そのため研究員は、自分の研究領域に囚われることなく最新の技術動向を常に把握しておく必要がある。科学技術文献情報データベースであるJDreamⅢは、全ての技術分野における国内外の学術文献が収録されているので非常に役立っている」と話す。

花王では、IPアドレス認証方式の導入によって、全ての研究員が自分のパソコンでJDreamⅢを利用できる環境が整っている。これまでも研究員の学術文献調査ツールとしておおいに活用されてきたが、2018年末に研究員にこれまで以上に科学技術情報を役立ててもらうための新たな”統合検索システム”の運用が始まり、そこでもJDreamⅢは重要な役割を果たしている。

AIを利用した”統合検索システム”に文献情報を取り込み、効率化を実現

花王では、経営全般にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの最新技術を活用するために全社横断の専門部署「先端技術戦略室」を設立し、販売、研究、サプライチェーンなど9つの領域を対象に、情報活用の仕組みを刷新することに取り組んできた。そのなかで研究員をサポートする”統合検索システム”の構築が浮上してきたという。

研究開発部門研究運営・管理部の岸本さんは「研究員にヒアリングすると、各種のシステムに必要な情報が分散しているため、情報収集に非常に時間がかかり、大変だという声が多く、まずは、ここから改善していこうとなった」と話す。まず製品開発時に必要な情報をAIを利用して、効率的に取集する仕組みを構築するプロジェクトを開始した。しかし、社内情報のみでは研究活動に必要な情報としては不十分である。そこで、研究員がよく利用する社外の学術文献の情報も必要となり、声をかけたのがジー・サーチだったという。

情報システム部門CRM部の森さんは今後の要望も含め「社外データベースを”統合検索システム”で検索するためには、データベースをAPI(Application Programming Interface:情報を他システムで呼び出して利用するための機能)仕様で提供してもらう必要があるが、ジー・サーチに打診すると花王が求める仕様に合ったJDreamⅢAPIを提案いただけた。実際にAPIを組み込み、動かしてみるとレスポンスが早く、使い勝手も良く、非常に素晴らしい機能を提供頂けた。今後は文献のどこで検索がヒットしたか判るような情報も提供して欲しい」と話す。こうして運用が開始されたのが、花王独自の”統合検索システム”だ。 

自然文の検索処理に独自の用語辞書を適用、最適な検索を実現

自然と国内外の文献情報を含む広い範囲の情報が得られるようになった」と話す岸本さん

花王社内のウェブページで"統合検索システム”を選択すると、すぐに入力画面が表示される。研究員は情報収集したい内容を、思いついた自然文で入力する。森さんは「この自然文を”統合検索システム”が形態素解析し、クエリを作成してデータベースを検索する」と解説する。

例えばシステムに「しっとりしてサラサラな化粧水」という具合に入力する。一般的にしっとりする化粧水はベタベタするものが多く、しっとりしながらサラサラした感触の得られる化粧水を開発するには多くの科学的知見(情報)が必要である。しかし、「さらさら」「しっとり」といったような官能表現は、同じ意味でも様々な言い回しが存在するため、欲しい情報が網羅的に得られないケースが多い。

しかしながら"統合検索システム”では花王独自の用語辞書を適用することで、社内の研究報告書、製品情報などの多様な関連情報を網羅的に検索することができる。その際、JDreamⅢAPIを組み込んだことにより、社外の学術文献も同時に検索することができ、社内外の多くの知見(情報)が同時に得られるということだ。研究開発部門研究運営・管理部の小松崎さんは「このとき研究員は、JDreamⅢを検索しているという意識はないと思う。様々な情報源から得られた結果で、問題解決のための『気づき』を得ることは多いと思う。そして得られた情報から、新たな知見(情報)が得られる。これは画期的なことだ」と話す。

また、岸本さんは「JDreamⅢには、日本語キーワードで外国語の論文が検索でき、その抄録も翻訳された日本語で読めるというメリットがある。日本語で商品情報を調べるとき、あえて文献調査を意識しなくても、自然と国内外の文献情報を含む広い範囲の情報が得られるようになった」と話す。”統合検索システム”は多様な情報を一度に検索できるなど、製品開発業務の効率化に貢献すると同時に新たな発想を得るためのツールとなることも期待されている。

また、上述の花王独自の用語辞書には研究員自身が使用している用語も登録されているため、馴染みのある用語による検索で、最適な結果が得られるように工夫されている。しかしながら課題もある。新しい用語の登録など、辞書を活用するためには継続的な定期メンテナンスが必要である。花王のような幅広い事業に対応するためには各分野の辞書を整備していく必要があるが、これでは時間とコストがかかってしまう。そのため科学技術全分野に対応しているJSTシソーラス用語辞書の活用を含め、今後の対応を検討していきたいとのことだ。

JDreamⅢの高度な検索機能を利用した調査で、業務課題を解決

”統合検索システム”は花王の研究員を強力にサポートするツールとなりつつあるが、このシステムのインターフェースだけではJDreamⅢが提供する豊富な機能を使いこなすことはできない。研究開発部門研究運営・管理部の大石さんは「研究員には、同時に従来通りのJDreamⅢの検索機能を使いこなすことも求められている」と話す。

例えば、谷島さんは「メーカーの研究員にとって特許調査は必須のものですが、特許情報は出願されてから一定の期間は公開されない。他社の研究動向をいち早く把握するためには文献情報の調査に習熟することも大切だ」と話す。

そして、特許、新聞・雑誌、ウェブサイトなどを組み合わせて調べることで、他社の動向がはっきりと見えてくる。谷島さんは「研究は独創性が最重要なので、他社と重複する研究はやりたくないのが研究者の心意気。他社に先駆ける研究テーマ探索や、研究に協力してもらえる社外の研究者探索も、JDreamⅢの文献調査で解決することが多い」と解説する。

充実した講習会で文献調査のスキルを身につける

花王では、文献調査のスキルを学ぶための講習会なども充実している。大石さんは「JDreamⅢは、日本語文献の検索では唯一無二の存在だが、使ったことがないという新入社員が多い。彼らは学生時代にGoogle Scholarを中心に使っているようだが、ある程度の件数がヒットするためGoogle Scholarだけで十分と思ってしまいがちだ。JDreamⅢも調べないと漏れがあるということを、まずは紹介している」と話す。

また、Google Scholarなどでの検索方法に慣れた若手研究員は必要な情報に絞り込むことが難しいという。 そのため研究所のある各事業所で、年1回2時間程度、検索機能が充実しているアドバンスドサーチで、検索集合を利用した検索方法を紹介する講習会を開催しているという。大石さんは「定期的に行っている講習内容に対する受講者の満足度は高い。得たい知識は得られていると思う」と話す。

今後は、直観的なアクセスによって、研究の気づきが得られる”統合検索システム”と求める情報を高精度に得られるJDreamⅢ単独での利用を使い分けていくことになるだろう。

JDreamⅢの付加価値機能も参考に、”統合検索システム”を進化

独創的な商品を生み出すために、社内外の情報を共有化し、研究活動を促進している。

JDreamⅢなど外部のデータベースと”統合検索システム”の両方を活用することで研究効率のアップを図っている花王。今後は、どのようなシステムづくりを目指しているのだろうか。

小松崎さんは「”統合検索システム”はサービスを開始したばかり。今後5年ほどをかけて検索の精度を高めて行きたい。より良い検索を実現するためには、外部のデータベースの知見なども参考にしたい。例えば、JDreamⅢではシソーラスが非常に整備されていて、それによって高精度の検索を実現している。このようなJDreamⅢの付加価値機能を参考にしながら、独自の辞書を構築し組み合わせることで、研究員の役に立つ統合検索システムを実現していきたい」と話す。

”統合検索システム”の進化により、研究員が必要とする社内外の情報を共有化し、研究活動を促進する。そこから独創的な商品を次々と生み出そうというのが花王の狙い。これからもJDreamⅢが提供する情報技術によりプロジェクトをサポートしていくことだろう。

取材・執筆:科学ライター 荒川 直樹(アースワークス)

ご活用いただいているサービス・機能

API

JDreamⅢの検索機能を、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた仕様。

  • API利用に関する詳細はお問い合わせください。

JST科学技術用語シソーラス

科学技術振興機構(JST)によって作成された科学技術全分野の専門用語を体系的に整理した辞書。技術用語の同義関係や、階層関係などによって体系化。文献情報に適切なシソーラス用語が付与され、検索使用が可能。

  • JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。

アドバンスドサーチ

検索するフィールド指定や演算子を用いた詳細条件の指定が可能な検索モード。詳細条件を参照する検索補助機能が充実。

  • JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。

IPアドレス認証

お客様のIPアドレスを認証項目とするため、ID/パスワード不要でログイン可能となる認証方法のこと。JDreamⅢはID/パスワード、IPアドレスという2種類の認証方法を提供。併用も可能。

  • JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。
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