導入事例慶應義塾大学理工学メディアセンター 様
JDreamⅢが学生の研究活動の効率化をバックアップ
掲載日:2019年5月20日
- 慶應義塾大学 理工学メディアセンター
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レファレンス担当
今井 星香 様レファレンス担当
加藤 諒 様
導入効果
- 学部生・大学院生の学術情報に関する情報リテラシーの向上
- 国内会議録・予稿集の収録が充実
- 学内ネットワークだけでなく、学外からも利用可能
- JDreamⅢの回答結果から学内リソースへのアクセスが可能
キーワード
- IPアドレス認証
- 会議録・予稿集
- アドバンスドサーチ
- クイックサーチ
- MyCollection
未来へつなぐ科学技術創発の拠点へ、学習環境をリノベーション
慶應義塾大学・矢上キャンパス(横浜市港北区)にある理工学メディアセンター(図書館)は蔵書数約35万冊の規模を誇り、年間のべ20万人を越える来館者に対応している。
理工学メディアセンター(以下 メディアセンター)では、”未来へつなぐ科学技術創発”をスローガンとし、理工学部に所属する学生や教員の研究活動を資料や学習環境の面からサポートしている。利用者の利便性を高める非来館型サービス(電子ジャーナルやデータベースなどの電子資料)を今まで以上に充実させるとともに、紙資料減少によるメディアセンター内のスペースを有効活用するため、計算式や思いついたアイデアを書き込んでいける壁一面がホワイトボードで囲まれたグループ学習室や、広くゆったりとした個人学習席などの多様な学習空間へ転換するといったソフトとハード両面において積極的に学習環境のリノベーションを進めてきた。
充実した国内外の文献情報が学生の学術情報リテラシーを向上
電子資料の収集、提供タイトル数が増加しているが、科学技術データベースもそうした電子リソースの一つだ。学生や教員は、JDreamⅢなど自然科学全般を扱う主要データベースのほか、専門性の高い理工系分野のデータベースを常時利用することができる。JDreamⅢへのアクセスはIPアドレス認証方式を採用し、学内ネットワークからはもちろん、本人認証の仕組みにより学外ネットワークからでも利用が可能になっている。
メディアセンターが提供する科学技術データベースのなかで利用頻度の高いものの一つがJDreamⅢで、学会予稿集を含め国内の文献情報が最も充実していることが利用される最大の理由である。加えて海外文献も日本語で検索でき、抄録の日本語訳が読めることも評価されるポイントである。
科学技術データベースの利用促進を担当する今井さんは「2018年度の新料金体系により、キャンパス数や利用者数に関係なく学内関係者であれば誰もがアクセスできるように改定された点はありがたい。現在、JDreamⅢは英語がまだ得意ではない学部生の利用が多い。まずは、国内文献を検索し、その中から重要な論文を選択、全文を読み込んでいく経験をしながら、徐々に日本語翻訳された海外文献の抄録をチェック、英語論文原文に挑戦していくといった使い方をする例も少なくない」と話す。JDreamⅢは、学部生が最初に使いこなす科学技術データベースであるとともに、研究室に入って本格的に研究をスタートする学生の成長を手助けする役割も担っているという。
利用統計によると、JDreamⅢの利用者の内訳は学部生(3年生、4年生)が7割、大学院生が2割であったという。大学の研究テーマは専門性が高く、最先端の研究成果は海外文献を確認する必要があるが、先行研究調査などで数多くの論文に目を通さなければならないときなどは、抄録の一覧が出力され、しかも日本語で読むことのできるJDreamⅢが調査の効率化に役立っているとのことである。
わかりやすい検索方法のイメージを利用者に伝え、利用を促進
学生や教員に科学技術データベースを有効活用してもらうために、メディアセンターは毎年春に「文献探索セミナー」を開催している。少人数制で、新たに研究室に入った4年生、他大学から入ってきた大学院生、教員などを研究室単位で集めて参加してもらっているという。
講義の時間は70分ほど。独自作成のスライド資料やガイドを教材に、JDreamⅢを含む主要な科学技術データベースの使い分け方や検索の流れなどを説明する。JDreamⅢはアドバンスドサーチの検索を紹介。”検索ボックスへキーワードを入力、検索結果の集合同士を掛け合わせて絞込み、タイトル一覧を表示、回答結果を確認して本文を入手”という一連の流れをコンパクトに説明している。
データベースの利用促進を担当する加藤さんは「利用方法などはポイントを押さえて簡潔に解説する。細かな検索の説明より各データベースの特徴を分かりやすく紹介することに重点を置き、自分に必要なデータベースを選べるようにしたり、膨大な文献のなかから必要なものを選択できるようにしたりするための基礎知識の解説に時間を割く。例えば、研究領域の動向を幅広く知りたいときはレビュー(総説)論文を読めばいいし、重要度の高い論文を探すときはを被引用数の多いものを探すなど、文献調査にとって不可欠な予備知識を厚く伝えている」と話す。
利用者ニーズに合わせた操作ガイドが理解度と満足度を向上させる
「科学技術データベースについて、一定の解説をすれば、あとは自分たちで使いこなしていく。そのスキルを持つ学生がほとんどだと思う」と今井さんはいう。文献探索セミナー参加者には調査のポイントを理解してもらえるが、セミナーに参加しない利用者に対するサポートのための情報発信にも積極的に取り組んでいる。
今年初めて、大学独自のJDreamⅢ利用ガイドをメディアセンターのウェブサイトで提供し始めた。今井さんは「JDreamⅢは、検索漏れの少ない高精度な検索ができるデータベースであり、それが企業に支持されているのだと思う。高度な検索技術はジー・サーチのウェブサイトにあるマニュアルを参照するように促しているが、提供されているマニュアルでは学生の利用が多い大学での使い勝手には合わない面もあった。今回は、それを補うもので、大学ユーザの目線で機能をピックアップし、本文の入手方法など大学固有の情報を入れて文献検索から入手まで流れで分かるようになっている」と説明する。
ニーズに合わせて作成したガイドを利用者に知ってもらい、必要なポイントを理解してもらうことで、操作に戸惑うこともあった学生、教員に対して、JDreamⅢの利用を促すきっかけにもなると期待している。
クイックサーチ強化などの大学利用者のニーズに応える進化を期待
加藤さんは「JDreamⅢの主なユーザーである学部生は、Google Scholar などのシンプルで直感的なインターフェースに慣れている。JDreamⅢのインターフェース全体を大幅に変えることは難しいなか、今回、ジー・サーチが発表したクイックサーチの改良には期待している」と話す。
JDreamⅢによる検索は、より高度な検索ができる「アドバンスドサーチ」と、簡便で直感的な「クイックサーチ」のどちらかを選ぶ仕組みになっている。クイックサーチを選んで検索したときに、高度な検索をしたいと思った場合には、最初の選択画面に戻り「アドバンスドサーチ」で検索しなおす必要がある。そのため、簡易検索と高度検索の両方に対応できる「アドバンスドサーチ」をセミナーで紹介してきたが、クイックサーチの高機能化により検索モレやノイズ対応が進むと考えられるため、今井さんは「今後クイックサーチの機能を検証し、可能であればクイックサーチを中心に利用促進を図りたいと思う」と話す。新しいクイックサーチは、より多くの大学ユーザーに受け入れられるに違いない。
最後に、今井さんは「JDreamⅢは、国内の科学技術文献を検索できる最大のデータベースであるとともに主要な海外文献の抄録を日本語で読めるところが学部生にとってありがたい存在である。今後も、国内文献の網羅的な収録を維持しながら、海外誌などの収録拡張を行っていただくことに加え、大学ユーザーが求める検索機能の付加価値が加われば、より使い勝手のよいデータベースになると思う」との期待と、昨年8月に改善された回答結果に表示される学内リソースへのアイコン表示をお客様ロゴに変更できるといったような、より利用者が理解しやすいインターフェースへの改善や、大学ユーザーの利用が多い文献管理ソフトとの連携対応など、今後の改善要望を挙げられた。
機能拡張を続けてきたJDreamⅢは、今後もこうしたユーザーの声を受け止め、進化を止めないことで大学などアカデミアからも高い支持を受ける科学技術データベースへと成長することだろう。
ご活用いただいているサービス・機能
IPアドレス認証
お客様のIPアドレスを認証項目とするため、ID/パスワード不要でログイン可能となる認証方法のこと。JDreamⅢはID/パスワード、IPアドレスという2種類の認証方法を提供。併用も可能。
- JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。
会議録・予稿集
国内外の学協会等が開催する研究集会等で発表する概要や、発表内容を論文形式で掲載している資料。
- JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。
アドバンスドサーチ
検索するフィールド指定や演算子を用いた詳細条件の指定が可能な検索モード。詳細条件を参照する検索補助機能が充実。
- JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。
クイックサーチ
検索語を自動展開する「関連語検索」や入力を補助する「サジェスト機能」によって、簡単入力で最適検索が可能な検索モード。検索結果を簡単に絞り込める「絞り込み機能」も搭載。直感的操作での検索が可能。
- JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。
MyCollection
JDreamⅢでヒットした回答表示結果の書誌情報を、図書館目録(OPAC)や購読電子ジャーナル等のお客様リソースへ引き渡し、該当書誌情報を連携利用するための機能。
- JDreamⅢ検索サービス(全てのプラン)の契約でご利用いただけます。